一期一会の日② ~直人のお骨~
直人がお墓に入ってしまう前に、四十九日が過ぎないうちに、という思いがあり、一期一会の日は6月6日(土)にやろうということになった。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんにも来てもらえることになり、中心になってこの日を準備していたアンサンブル役員も指導員も、さらに真剣になり、気を引き締めた。
指導員には一つ、心からの願いがあった。それは・・一期一会の日に直人のお骨もオカリナに来てほしい、ということ。
お骨を移動させるなんて、家族にとってどうなんだろう、と失礼を覚悟でのお願いだった。
でも両親はそれを許してくれたのだった。
一期一会の日にやってきた直人のお骨。
持たせてもらうことも許してもらい、胸に抱いて子どもたちに紹介した。
指導員が、亡くなるときに直人のそばにいたことも、葬儀のあと焼き場で骨を拾わせてもらったことも子どもたちは知っている。
初七日法要の翌日、直人は骨になってとっても小さくなっちゃったんだ、きれいな壺に入って今家にいる。でもいつかその骨はお墓に入らなくちゃならないんだよ、という指導員の話にもじっと耳をかたむけていた。
だから、その直人が目の前にいるということは子どもたちの胸を打ったに違いない。
告別式で眠っているようだった直人が、指導員が話したとおり骨になり小さな箱の中に入ってオカリナに来てくれた。
直人、きてくれてありがとう。
お墓に入る前にオカリナでみんなと一緒に一日を過ごしてくれて。
半月後、私たちは納骨にも立ち会わせてもらえた。
優しいおじいちゃんが、
「直人は墓に入ってしまいましたが、はやりの歌のように、風になってどこにでも自由に飛んでいると思います。と」さびしそうに、ひと言ひと言かみしめるようにあいさつした。
そのことも子どもたちに伝えられた。
あの日、お骨になった直人がオカリナに来てくれたから、子どもたちが直人に会えたから。
だからそれまでのこともそれからのことも、直人のことはひとつながりで心を込めてオカリナっ子に伝えたい、伝えていけると思ったんだ。(さぶ)
※写真は卒業生の母が撮ってくれたものです。
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